ブログコンテンツバナー
PCMグランドミーティング

2015/11/17
毛髪勉強会PCMのグランドミーティングが開催されました。

 2014年11月17日に、PCMグランドミーティングが東京新宿のハイアットリージェンシーで開催されました。
  PCMの大きな目的は、毛髪科学の知識を応用してサロン施術の向上を図ることで、約3年前に東京と大阪でそれぞれ数名で発足しました。だいたい1ヶ月から1ヶ月半に一度開催するのですが、ルールがあって、皆が決めた日取りなので、決して休んではいけないのです。ちょっと厳しすぎますかね?おかげで人数は少なくなりましたが、志を同じくする仲間としてまとまったのです。
  毛髪科学の講習を受けながら、難しくなると「自分たちはデザインが大切だから」という人がいます。しかし、理美容師にとっての毛髪科学は、私たち化粧品技術者にとっての化学であり、舞台俳優であれば国語であり、作曲家であれば音楽理論にあたるもので、なくてもある程度は仕事はできるが、あるレベル以上は望めません。ベートーベンは、楽器の構造や音楽理論にきわめて詳しかったそうですが、もしこの日本にベートーベンに匹敵するような理美容師が出現したら、必ずや高度な毛髪科学を学ぶだろうと思うのです。
  しかし現状は、毛髪科学の知識を提供する場が、メーカーが開催する講習会であることがほとんどで、そのメーカーのほとんどが処方づくりはしても、基礎研究を行うことはありません。いきおい科学を営業につなげるため、トンデモ科学が横行してしまうのです。さらに困ったことに、科学を少しかじった技術者は、まったく知らない人よりも、でたらめに使われる難しい専門用語にだまされてしまいがちなことです。

  こうした中で私の知りうる毛髪科学を、時間をかけて伝える場としてPCMを始めたのです。義務教育で習う英数国を考えてみると、6年間やってもほとんどの人が英語を片言ですら話せず、数学などはとうの昔に忘れてしまっています。それを土台にした毛髪科学が年に数回の講習を受けただけで身につくわけがないのです。
 しかし1年に10回ほどのPCMを約2年間続けたところ、(私も含めて)皆の議論、疑問が的を射たものになってきたのです。行なったことといえば、ほとんどがパーマ剤の検証で、ほかにカラートリートメント(カラーバタープレミアム、チャンティック)が少しだけでした。その間に大阪の吉川さんは、私のつくった還元剤パワーグラフをパウチにして、バックルームに貼り、施術のたびにそれを検討するようになりました。また、東京の安藤さんは、カラートリートメントを使うことが、毛髪表面に色素を染着していて、内部に染料が行かないメリットを感じるようになりました。こういった皆の変化が、私にも、毛髪科学と実際の業務を結ぶ糸口を暗示してくれるようになったのです。

 そんな中で私の中に、今の時点での彼らの成長を明確な形で残しておきたいという欲求が生まれたのです。そして、その方法は今後も節目々々で会の前進を確認する際、同じように有効であることが必要でした。考えたすえ行き着いたのが、彼らが今までのPCMの活動で身につけたことを科学の発表会形式で、科学者の前で発表することでした。そして科学者に総評してもらい、おかしな点は突っ込んでもらうというものでした。

  この前代未聞の私の提案に対し、5人のメンバーが手を挙げました。さらにもともとPCMは、講習などでは聞けないことや、もっと詳しいことを聞ける場がほしいという、Haru-Ruの赤池達陽さんの要望に応えて設立したものですが、赤池さんは、会を代表して当日来てくれた皆さんに挨拶をしたいと言ってくれました。皆の発案で、PCMメンバーはみなフォーマルで集合し、参加する皆さんを入り口で迎えようということになりました。
 とは言うものの、それから開催までの数か月間、プレゼンの担当者は、自分の発表する論旨を明確にし、足りない実験を行い、レジュメをつくり、パワーポイント資料をつくるなど、今まで味わったことのない緊張感の中で慣れない作業を進めて行ったのです。彼らは技術者向けの講習会などは今まで何回も行ったことはあるのですが、実技なしの内容勝負、相手はパーマに詳しいわけではありません。彼らにとっては夢にも思わなかったことです。

 しかし当日、結果は、私の予想を裏切り、彼らはすべて堂々と素晴らしいプレゼンをしてくれたのです。講演ならびに総評をしていただいた、日本を代表する毛髪の研究家である新井幸三先生も、一人ひとりのプレゼンを高く評価し、温かいアドバイスをくださいました。午前中から4時間の濃厚な講演とプレゼンの時間が終わり、懇親会に移りました。
懇親会では、来賓の祝辞のあと、元宝塚男役スターである夢輝のあさんのオン・ステージ「あのジュピターをめざして」にみな心を奪われたようでした。夢輝さんも、この日からPCMのメンバーが新たな一歩を踏み出したことを思い、この日にふさわしい曲を選んでくれました。とくにプレゼンを行ったメンバーは、緊張から解放された喜びもあいまって、夢心地のようでした。
最後にPCMを代表して吉川さんが来てくださった方々に対しお礼の挨拶と三本締めを行ない、メンバーは駆け足で出口に整列し皆さんをお見送りして、お開きとなりました。

 会の興奮から覚めやらぬ翌日、早速プレゼンしたメンバーから「きのうはダメでした!」という反省の電話とメールが来ました。私にとってはとても良かった二人だったのですが。これも成長の証かと、また感動がよみがえりました。

PCM_GrandMeeting

①総評を行なう新井幸三先生、②夢輝のあさんオン・ステージ、③質問を受ける吉川さん、④PCMメンバー、⑤出口に整列し参加者に花を渡すPCMメンバー

<参加PCMメンバー>
PCM東京:青木幸治(アライフ)、赤池達陽(Haru-Ru)、安藤守弘(UNE ATTACHE)、北原優・八木優太(スリーズカンパニー)、田中和寿(BEETLE)、溝口学(COVO
PCM大阪:石野有紀(Wise Gallery)、中島秀樹(Rocket)、正木裕久(je nais)、吉川高志(Yoshikawa
PCM東京2:安藤守弘(前出)、斉藤かほる(ノエル)高橋洋子(マージョリー)、千葉充(コアフロック)、森田直樹・藤井あゆみ(クリップジョイントゴッド
PCM九州:平川博幸(ソフィア
PCM新潟:佐藤敏弘・佐藤千尋(T.C.ウィング)、渡部豊(FUEL