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龍安寺蹲

2009/01/01
美容のパズルを解くヌースフィット

 あけましておめでとうございます。昨年も何だかわからないことを真剣に語られてしまうヌースフィットにお付き合いいただき、まことにありがとうございました。  おかげさまで今年は少しコミュニケーション能力が向上していると思います。

 さて、昨年の大変明るい話題として、ノーベル賞の華といわれる自然科学部門で日本人4人が授賞したという快挙が挙げられます。世界中には綺羅、星のごとくいるといわれる科学の天才の中でも、ほんの一握りの人間にしか与えられないノーベル賞です。その陰には数えられないほどの人が悔しい思いをしていたりするのでしょうが、テレビなどで知る受賞者のエピソードでは、何よりもひたむきに努力を続ける科学者の情熱に感動します。
 彼らを動かしているものはまさに「なぜ?」です。「なぜ重力があるのか?」「なぜクラゲが光るのか?」・・・
 高校時代の物理の問題に「なぜ空が青いのか?」というものがありました。友人にその問題を話したら、「雲が白いから」が彼の答えでした。まるでカミュの『異邦人』の主人公のような答えでしたが、彼はまったく文学的な人間ではなく、アメリカの大学の数学科に進みました(もちろん文学と数学が相反するものであるとは思っていません)。
 しかし、なんとロマンチックではないでしょうか?「なぜ重力があるのか」がわかれば、宇宙の始まりから想像もつかない宇宙の果てにまでその理論が及ぶのです。
いささかスケールは小さいですが、ヌースフィットを貫く原動力もこの「なぜ?」です。ヌースフィットのロゴマークの「S」はクエスチョンマーク「?」を逆さにしたものです。これは常に「なぜ?」を問い続ける企業でありたいという思いから考案したものです。
 ヌースフィットは昨年、今まで行ってきた研究成果をもとに、毛髪成形に関しある仮説を立てました。いまさらながら、あらためて「なぜパーマはかかるのか」を問い直してみたのです。そうしたとき、今まで美容においてなおざりにされてきたさまざまな問題点が明らかになってきたのです。
  新しい仮説(理論)と現状の問題点。私たちはこのパズルを解くことに没頭しました。
 しかし、われわれはメーカーですから、疑問や理屈だけでは食べていけません。この仮説が正しければ、こういったことが可能になるだろうというシステムと製品をつくる必要があります。さらに信頼のおける技術者にいじくり回されサロンワークに落とし込めてはじめて商品になります。
現在このシステムは一部のサロン様に導入していただき、おおむね良好な結果を得ています。
  さてヌースフィットは今まで主に毛髪科学の講習を中心に活動を行ってきました。そうした活動の中で非常に不思議だったことが、毛髪科学に興味を示す、いわゆるマニアックな美容師さんほどニセ科学にだまされやすく、あやしい水の信奉者になってしまうことが多いことです。
  昨年東北地方のあるサロンさんを訪ねたとき、「うちの毛髪科学はこの先生のテキストで十分」と言われ、渡されたテキストの表紙にはノーベル賞のメダルが大きく印刷されていました。このテキストを書いたドクター○○という人は、ノーベル賞のメダルを載せれば美容師さんをだましやすいと考えたのでしょうか?インターネットのスパムメール(勧誘メール)でも、「ノーベル賞成分配合」などと堂々と謳ったものがまかり通っています。
  こうした商売が問題なのは、それを信じて採用したサロンさんの信用を失墜させてしまうことにあります。そして一度「是」としてしまったものは、格好悪くて容易には引っ込みがつかないという人間心理を利用しているのです。

  一方で、こうしたニセ科学と闘っている科学者もいます。昨年ヌースフィットが入会している、主に美容メーカーと原料メーカーで構成されている毛髪科学技術者協会の学術大会で講演をお願いした、山形大学の天羽優子先生もその一人です。天羽先生はご自身のウエブサイト『水商売ウォッチング』で次々とニセ科学を悪用した業者を糾弾しています。ちょっと専門的な部分も多いですが、ぜひ多くの美容師さんに見ていただきたいサイトです。トルマリン、マイナスイオン、クラスターなど、とても参考になりますよ。
  ニセ科学、擬似科学を批判している学者の多くは、ニセ科学が受けいられやすい背景に、本物の科学にはあいまいさがあり、ニセ科学は断定した表現を用いるためシロウトにはより科学っぽく見える点があると指摘しています。思い当たるふしがあるのではないでしょうか?

しかし告白しますが、かくゆう私たちもこういった手法に近い表現でうそを言っていたのです。たとえば「ミネラルをバランスよく配合」などといった表現です。「バランス」が良いのか悪いのかなんて、本当のところ、ほとんど確かめようがないのです。
  ヌースフィットは、今後はできるだけそのような表現を排除していきたいと考えています。
  われわれの髪や肌はまだまだわからないことだらけです。皆さんと一緒に「なぜ?」を追究していけば、「神秘の水」などに頼らなくても、美容のパズルは十分面白おかしいし、パズルの種は決して尽きないのです。

平成二十一年 元旦          株式会社ヌースフィット